遺産・財産の使い込みを発見した方へ

遺産・財産の使い込みとは?

遺産・財産の使い込みとは遺産、財産の使い込みとは、被相続人(亡くなった方)の財産を相続人が自分のもののように使ったり、処分してしまうことを指します。財産管理をしていた相続人や同居し、身の回りの世話をしていた相続人などが行ってしまうことがあるかもしれません。これらは生前に行なわれることもあれば、死後に行なわれることもあるようです。

こうした行為を発見した場合、どうすればよいでしょうか?

ここでは、特に、被相続人の存命中に使い込みが行われた場合について、法律上の意味も含めて解説させて頂きます。

 

被相続人が亡くなった後に遺産・財産の使い込みが発覚したときとその対応

例えば、生前に相続人の一人が被相続人の預貯金を無断で使っていたとしましょう。そのことが被相続人が亡くなった後に発覚したとします。そうした場合、本来、法定相続分に基づいて得ることができたはずの預貯金を他の相続人が得られなくなってしまう可能性が出てくるという問題がまず生じます。

さて、この場合はどうすればよいのでしょうか?

 

不当利得返還請求権の行使

こうした場合、本来得ることができたはずの遺産を奪われたと考え、預貯金の使い込みをした相続人に対して、不当利得返還請求権を行使することができます。すなわち、使い込みで減った遺産のうちの、自己の相続分に相当する分を引き渡す(金銭で返還する)ように求めることができます。

ただし、注意点として、被相続人が承諾しての生前の贈与であれば、特別受益の問題にはなりえますが、原則として不当利得にはなりません。特別受益の場合は、遺産分割協議や調停・審判等でその旨の主張をしていくことになります。また、承諾なしに行われた使い込みであっても、当事者が遺産分割協議の際にその分を遺産に戻して処理することに合意すれば、遺産分割協議の中で扱うという方法もあります。

 

不法行為に基づく損害賠償請求

預貯金を使い込みを行った相続人は、被相続人に対し遺産の使い込みをしたということで損害を与えたと考え、使い込みを行った相続人に対して、不法行為に基づく損害賠償として、使い込みを行った預貯金分を請求することができます。

故意や過失に基づいた違法な行為を不法行為といいますが(民法709条)、今回の場合は、被相続人に対し、使い込みを行った相続人は使い込みという違法な行為を行ったということで、損害を与えたために、不法行為についての損害賠償請求責任を負い、賠償をしなくてはならないということになります。

もっとも、損害の回復を求める権利を持つのは本来は使い込みをされた人ですが、すでに亡くなっているのであれば、損害賠償請求権も相続されますので、各相続人法定相続分に従い、使い込みをした人に預貯金の返還請求を行うということになります。(もし、存命の場合は、本人が損害賠償請求権を行使することとなり、認知症で事理弁識能力を欠く常況にある場合は成年後見人の申し立てを行い、成年後見人が選任されれば、当該成年後見人が本人に代わって交渉や訴訟をすることとなります。

 

不当利得返還請求と不法行為に基づく損害賠償請求の違い

使い込みが疑われる場合に関して、これら2種類の方法で自分の法定相続分について損害の回復を図ることができるのですが、どういった違いがあるのでしょうか?

異なる点としては時効の長さです。

不当利得返還請求に関しては行為時から10年間に対し、不法行為に基づく損害賠償請求権の時効は加害者(使い込みを行った相続人)と損害の発生を知った時から3年間です。また、不法行為には除斥期間もあります。

*時効については令和元年6月時点の法律に基づいています。令和2年4月施行の改正法(民法167条)によると、「一 債権者が権利を行使することができることを知った時から五年間行使しないとき。」「二 権利を行使することができる時から十年間行使しないとき。」のいずれか早い方で完成してしまいますので、改正法適用案件ではこの点に注意が必要です。

不当利得返還請求や損害賠償請求は、遺産分割とは異なり、民事事件ですので、訴訟を行なう場合は、地方裁判所(金額が140万円以下なら簡易裁判所)で行なうことになります。

 なお、時効に関してですが、複数回の使い込みがなされた場合、それぞれの使い込みは別々の行為と考えられ、それぞれの使い込みの時点から不当利得返還請求権の時効の起算点(改正法だと客観要件の起算点)とされるのが原則だと考えられます。したがって、初期の使い込みの分が時効になる前に、速やかに請求をすることが望ましいと言えます。

立証の方法

返還請求や損害賠償請求をしようとしても、相手方は争ってくることが多いと思われます。そのような場合、どのような方法で立証すればよいでしょうか? 客観的な資料が重要になってくるので、まず考えられるのが通帳や銀行で取得可能な取引履歴などお金の流れがわかるものです。また、銀行での引き出しの際に委任状が用いられている場合には委任状の写しが入手できれば筆跡により被相続人本人が書いたものかどうかを調べるという方法もあります。

 また、無断でお金を使ったとされる側が高額の買い物をしていたような場合には間接事実として意味を持ちえます。また、通帳や印鑑の管理状況も重要であり使い込みをしたとされる相続人がそれらを管理していた事実があるかどうかも調べると良いでしょう。

 さらに、被相続人が自分の意思で贈与したという反論に対しては、当時被相続人が認知症などですでに判断力を失っていたことを立証できれば有力な反論となりえます。

 ただ、何を立証すべきかは案件により異なり、上記はあくまで一般的な話です。個別の事案については、ご相談ください。

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