未払退職金を請求したい方へ

「会社を辞めたが、退職金が支払われていない」という場合について説明します。

 

1.退職金とは何か

文字通り、退職する際に支払われる金員のことをいいます。

ただし、法律上の定めがあるわけではないので、就業規則に定められているか、会社との間で合意があるなどの事情がなければ、支払いを求める権利は発生しないと解されます。

 

2.退職金が支払われていない場合

退職したにもかかわらず、退職金が支払われない場合には大きく3つのパターンが考えられます。

  1. そもそも退職金の合意がない
  2. 退職金の合意はあるが、減額又は不支給とされた
  3. 会社に退職金を支払う資力がないため、支払えない

 

3.①退職金の合意がない場合

就業規則等に定めがない場合は、基本的に何らかの合意が必要となります。雇用契約書に明記されていなくても、口頭やメールなどによる合意があったという場合には、合意したことを証明できれば、請求できる可能性があります。

また、これまで退職した従業員には慣習的に払われていたが自分の時だけ払われなかったというような場合もあります。そういう場合、状況によっては、黙示の合意の成立が認められる余地はあると考えられます。

 

4.②合意はあるが、減額又は不支給とされた

契約書等において、一定の場合に退職金を減額・不支給とする文言が記載されているケースがあります。その文言については、必ずしも有効とされるわけではなく、必要かつ相当な場合に限り、有効と扱われている場合が多いです。

また、会社から従業員への損害賠償請求をもって、従業員からの退職金請求権と相殺する主張がされることも考えられるところです。

これらの場合には、文言の有効性・会社の請求権が生じる余地などについて検討する必要があります。

 

5、③会社に退職金を支払う資力がないため、支払えない

この場合、会社がまだ法的整理(いわゆる倒産の手続き)に入っていないのであれば、訴訟などによる回収を試みることが考えられます。破産など法的整理に入った場合は手続きの中で支払いを受けるか、それで支払ってもらえない場合は一定の要件を満たせば公的な制度によって最大80%までは支払ってもらうことができます。

以上のように、退職金を支払ってもらえないといっても様々なパターンがあり、また、類似したケースに見えても、個々の事案により採るべき方法は異なります。また、時間が経つと、証拠が失われたり、会社の経営状況が悪化したり、最悪時効になってしまうなど、回収ができなくなるリスクも高まります。退職金未払いに直面した場合には、速やかに弁護士にご相談ください。

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