【コラム】話し合いでまとまらなければ

相続について、当事者だけでの話し合いでまとまらない場合は、どういう方法があるでしょうか?

この場合、基本的な方法としては、家庭裁判所に遺産分割の調停を申し立てる、ということが考えられます。
もっとも、最初から審判を申し立てることも可能ですが、調停に付される可能性が高いと思います。

さて、では、調停では、何をするのでしょうか?
実は、調停も話し合いです。
ただ、裁判官と調停委員からなる調停委員会が双方の意見を聞いて話し合いを進めるので、一般的に考えれば、当事者だけで話し合うよりまとまる可能性は高くなると思われます。
(実際、当事者だけの話し合いで解決しなかったものが調停で解決することはよくあります。

実際の流れとしては、各回の話し合いは、当事者と調停委員で進められ、裁判官は最後にまとめるとき、など要所でだけ、直接出席するのが一般的です。
(ただ、調停委員は、当事者のいないところで、必要に応じて裁判官と協議しています)

また、調停では、基本的には、各当事者と調停委員、で話し、相手方と同席して話す方式で行われることはまれです。
つまり、申立人と相手方は交互に調停室に入り、顔を合わせないで行なう方式が一般的です。
例えば、申立人が調停委員に話し、調停委員がそれを相手方に伝え、今度は相手方が調停委員に話し、それを調停委員が申立人に伝えて・・ というようなことの繰り返しで話を進めていきます。
もちろん、弁護士にご依頼の場合は、弁護士も出席します。
最後にまとめるときは、全員同席が原則です。

なお、相続人が数人いて、それぞれ立場が違う時は、それぞれの相続人と調停委員、で順番に話をしていくような形になりますが、相続人が数人いても、対立していないグループがある場合は、そのグループについては、一緒に調停室に入るような扱いがされるのが一般的です。

調停委員は中立的な立場で話すことになっていますが、逆に言うと、ご自身に有利な事情は自分で主張する必要があります。
例えば、自分は被相続人の介護に関して貢献した、相手方は先に多額の援助を得ていた、などの事情は調停委員から積極的に聞いてくれることは期待できません。ご自身で主張する必要があります(弁護士が付いている場合は、調停前に弁護士と打ち合わせて伝えておけば、弁護士から話すことが可能です)。

もう一つ、調停に臨むうえで念頭に置いておいた方が良いポイントとしては、調停は法的な白黒をつける場ではない、ということでしょう。つまり、必ずしも法的な根拠がなくても全員で合意できれば、原則として自由に分割割合を決めることができますし、逆に、法的に有利な要素があっても、合意できなければ、成立はしません。
 ただし、希望通りにまとまらない場合は「もし審判になったらどうなるか?」ということも検討したうえで、対応を決める、ということも必要であり、従って、法的な知識をもって臨むことも重要だと思います。
(そもそも、法的にどのような解決が妥当かを念頭に主張を決めたいという方も多いと思います)

ところで、調停の管轄は、原則として、相手方の住所所在地の家庭裁判所です。
そういう意味では、わざわざ遠方まで行かないといけない場合もあるわけですが、ただ、最近の法改正で、遠方の場合は、調停期日の際に電話を用いることができるようになりました。電話で期日を行う場合、弁護士に依頼していれば、弁護士の事務所を用いることになります。(ただし、実際に電話で行うかは裁判所の判断です)

調停は、このように、裁判所で行われるものの、結局のところ、話し合いです。
それゆえ、まとまらない場合もあります。

では、調停を行ってもまとまらなければとうなるのでしょうか?
この点については、次回、解説します。

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