労働訴訟を起こされてしまった

ここでは労働訴訟を起こされてしまったという企業等の方のための解説をさせていただきます。とはいっても、労働訴訟という言葉は正式の用語ではありません。労働者と会社が争っている場合に弁護上そのような言葉で表すことがあるだけです。

では、具体的にはどういう訴訟が考えられるでしょうか?

  • 残業代請求事件
  • 地位確認請求事件(不当解雇の主張)
  • 損害賠償請求事件(パワハラ、セクハラ、労働災害、など)

等が考えられます。

訴訟の類型としては、通常の民事訴訟なのですが、労働法は労働者保護を目的に作られた法律なので、十分な準備をしないと会社側が不利になりかねません。例えば、残業代の支払いは強行法規であり当事者の合意では排除できません。また、解雇は社会通念上合理性を欠く場合には無効とされてしまいます。解雇規制は、もともとは判例で認められた理論ですが、現在は労働契約法にも定められています。

このように、企業同士の関係と違って、労働側を保護するための法律や判例があるので、それらをよく検討して、現在の事案について丁寧に分析する必要があります。完全な勝訴は難しい場合でも残業代請求などで一部争う余地がある場合は、少しでも有利な解決を目指して訴訟活動を続けていくということが考えられます。残業代請求事件の場合は相手方が出してきた証拠の信憑性や説得力が問題になることが多いと思います。

もっとも、どこまで争うのが望ましいかは事例によります。これは争うのは難しい、という場合には、判決になれば不利になることを前提に、ある程度相手の主張に沿った和解で解決する方が良い場合もあります。例えば、残業代の請求がされた場合に、少なくともその一部については十分な証拠があると思われるのであれば、一定程度の支払いをすることを申し出て和解するというようなことです。残業代請求でそのような和解をするメリットは原告次第では減額できることのほか、これも原告次第ですが場合によっては分割での支払いを認めてもらえる、など和解にもメリットがあるのです。

また、解雇無効を主張して起こされた訴訟では、敢えて一定期間の賃金を払う代わりに復職の要求を取り下げてもらうというような交渉をすることもあります。ただ、そのような和解交渉は双方が合意する必要があり、金銭の提供をしてももともと解雇が無効の場合はそれで法律上有効に変わるわけではありません。したがって、退職に合意してもらうための金銭の提供はあくまで和解のための手段です。

労働訴訟は、民事訴訟の一種であり、労働審判のような回数の制限はありません。それゆえ、期日の回数はまちまちです。被告が不出頭の場合は1回で判決が出てしまうことが多いと思いますが、双方が出廷して通常の審理が行われる場合は、数回程度期日が持たれることが多いです。そうして、双方が十分に主張を尽くし、裁判所も十分審理したと考えたら、判決が出ます。この点は一般的な民事訴訟と同じです。

では、判決はどのような形になるのでしょうか?

  • 不当解雇の事案なら、復職を認めることとそれまでの賃金の支払いを命じる内容になるか、請求棄却か。
  • 残業代請求なら、全部認容か、一部認容か、請求棄却か、

などとなります。その他、事案に応じて、損害賠償請求などが加わることになります。

以上のように、労働訴訟は複雑で法律の専門家ではないと十分な対応が困難だと思います。労働者側からの訴状が届いたら、まずは弁護士にご相談ください。

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