不在者財産管理人

このページでは、不在者財産管理人という仕組みと、遺産分割の関係について、解説をさせて頂きます。

不在者財産管理人とは?

不在者財産管理人とは、民法第2章 第五節 不在者の財産の管理及び失踪の宣告 に定められた制度で、条文で言うと、25条から29条までに定められています。25条前段は、従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。」としており、不在者が財産の管理人を置かなかった場合には家庭裁判所が利害関係人等による請求に応じて不在者財産管理人を選任できることを定めています。

 ここでは、「不在者」について、「従来の住所又は居所を去った者」と定義していますが、住所や居所を去っていても連絡が取れれば問題がないわけで、実際には、住所・居所を去って連絡が付かなくなった人のことをいいます。

遺産分割において不在者財産管理人が必要になる場合

 遺産分割協議において、不在者財産管理人の選任が必要になる場合があります。それは、共同相続人の中に連絡が取れない人がいる場合です。もっとも、普段連絡が取れなくても手紙を出してみたら返事が来たり、弁護士に依頼して住民票を取り寄せて連絡すれば返信が来た、ような場合には、ここでいう不在者には当たりません。そのような場合は、郵便などで交渉に入ればよいわけです。

 しかし、住民票などで住所地らしきところを調べて郵便を出しても届かずに戻ってきてしまう、現地に行っても住んでいる様子がない、というような場合には、そのままでは遺産分割の交渉ができません。しかし、遺産分割は相続人全員の合意がないと有効にならないので、その相続人だけ外して交渉するわけにもいきません。そこで、家庭裁判所に不在者財産管理人の選任をしてもらい、不在者財産管理人に本人に代わって交渉の当事者になってもらうわけです。

 

不在者財産管理人との交渉の注意点

 不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得て本人の代わりに遺産分割の交渉に参加することができます(民法28条前段、民法103条)。すなわち、保存行為や、物や権利の性質を変えない範囲での利用または改良を目的とする行為を超える行為には家庭裁判所の許可が必要であるところ、遺産分割は保存行為や権利の性質を変えない範囲での利用や改良とも言い難いからです。

 上記の通り、不在者財産管理人は家庭裁判所の許可を得て遺産分割協議に参加できますが、しかし、不在者財産管理人は本人の財産を守るために選任されているのであり、本人に不利な遺産分割には原則として同意することができません。それゆえ、法定相続分を下回る遺産分割協議案には原則として同意が難しいと考えられています。融通が利かないところが、本人がいる場合とは異なるところなので、注意が必要です。

 

まずは弁護士にご相談を

 不在者財産管理人の選任申立てにおいては、どこまで調査をするべきなのか、失踪宣告ではなくこの方法によるべきなのか、など迷うところも多いと思います。この点については専門的見地からの検討が必要ですので、まずは相続案件に詳しい弁護士にご相談ください。弁護士は、遺産分割協議を代理人として行うことができるのはもちろん、不在者財産管理人選任申立ての代理人を行うこともできます。

 当事務所では、遺言や相続には力を入れていますので、ご相談を歓迎します。お電話か電子メールでご予約の上、事務所までご来訪をお願いします。初回1時間までは相談無料です。

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