評価の基準時

遺産分割の対象と評価

 遺産分割の対象となるものとしては、不動産、預貯金、現金、株式、自動車、など様々なものがあります。それらは価値の変動が生じるものもあります。その場合、どの時点の価値で評価すべきでしょうか?  すなわち、不動産は長期的に見れば価値が変動するし、株式のように短期的に変動する資産もあります。そういった資産について、どの時点の価値で評価するのでしょうか?

 

遺産分割の評価時

 遺産分割については現に分割をする時点での価値で評価すべきとされています。実際にはそれに近い時点ということになるでしょう。なぜなら、実際に調査をしてから分割するまでにも多少時間がかかることがあるからです。

 

特別受益の評価時

 特別受益については相続開始時点、すなわち、被相続人が亡くなった時点の評価額を用いるとされています。

 

実際に行う作業は?

 遺産分割については分割時点の評価を用いるのが原則なので、交渉や調停を行う場合、その時点での価値を調べます。不動産について、交渉や調停の段階では路線価や不動産業者による査定などを用いるのが一般的です。一方、審判においても同様にその時点での価値を調べれば良いのですが、不動産については鑑定を行って価値を調べるのが原則です。

 一方、特別受益については相続開始時点の評価なので、特別受益の主張がある場合は、不動産鑑定は相続開始時についても行います。なお、相続開始から審判手続きまで時間が経ちすぎている場合は、あまり古い時期の鑑定は難しいため、現在の価値についての鑑定を元に補正をすることで参考としての数値を出すという形が考えられます。

 また、特別受益に関して、贈与を受けた当時の貨幣価値と現代(相続開始時点)の貨幣価値が異なる場合には、物価の比較などにより相続開始時点での価値を算出するという作業が必要となります。

 

評価をもとに分割を行う

 上記のような方法で各資産についての評価が行われれば、遺産の総額を算出することができます。そこに特別受益分を加えて、一方、寄与分を差し引き、相続の対象となる遺産の総額を算出します。それに法定相続分をかけた数値が、一人当たりの具体的な相続分です。

 もっとも、具体的な相続分が明らかになっても、どの遺産をどの相続人が相続するかは、遺産分割協議が必要です。合意ができなければ、調停、調停でも合意に至らなかった場合は、審判に進むことになります。審判に至るほど長引いた場合には、相続からかなり時間がたっていることから、相続開始時か遺産分割時か、という議論に実益があります。

 上記のように、特別受益の評価は相続開始時ですが、遺産分割については分割時点とするのが原則なので、相続開始直後に価値を調べて評価を行なっている場合も、交渉や調停をしている間に時間が経ってしまった場合は、再度評価をし直すようなことも必要になってくるでしょう。

 遺産の価値の評価は遺産分割の結果に大きく影響しうる部分です。少しでも不安がある方は、ぜひ、弁護士にご相談ください。

 

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