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遺産分割には期限があるか

 遺産分割について期限があるかどうか、というような質問を頂くことがあります。そこで、ここでは、いくつかの観点から「遺産分割の期限の有無」について、解説させていただきます。

1 遺産分割に民法上期限があるかどうか

遺産分割そのものについては、この時点を過ぎたらできなくなるというような民法上の期限はありません。しかし、後述するように寄与分特別受益の主張には期限があり、時間が経つことで不利益を受けることはあり得ます。

2 相続税の期限

 相続税の申告、納付には義務があります。すなわち、相続税の納付義務がある場合には、亡くなった日の翌日から10か月以内に申告、納税をする必要があります。これは、遺産分割がまとまらなくてもしないといけません。なお、この時点で遺産分割が済んでいれば要件を満たせば小規模宅地特例を使えますが、未了の場合も申告の際に決められた手続きをすることで小規模宅地特例を使える可能性は残せます。それゆえ、必ずしも相続税の申告期限までに遺産分割協議を終えないといけないというわけでもないです(もちろん、申告、納税は期限内にしないといけません)。

3 登記の期限

登記については不動産などを相続したことを知ってから3年以内に登記をすることが義務付けられています。ただ、遺産分割が終わってない場合には一定の手続きを取ることで義務を果たしたとみなされるので、必ず3年以内に遺産分割を終えないといけないというわけではないです。

4 寄与分と特別受益の主張の期限

 改正前の民法では寄与分や特別受益について主張する期限は特にありませんでした。それゆえ、数十年前の寄与や受益についての主張が行われ、事実関係の確認の難しさもあって、協議の進行を妨げる要因になりがちでした。そこで、改正民法では、寄与分と特別受益についての主張は原則として相続開始から10年以内に制限されました。ただし、その時点で家庭裁判所の手続きに入っているなどの場合は例外的にその後も主張が可能です。

 なお、改正法施行時(令和5年4月1日)以前に発生した相続の場合は、10年の経過か、改正法施行から5年のいずれか遅い方まで主張が可能です。この経過措置がなければ、古い時期の相続については改正と同時に10年経過していることで主張の制限にかかることになりかねないところ、この経過措置でそのような事態は避けることができ、早くても改正法施行から5年経つまでは主張ができるようになっています。

 以上のように、改正法では寄与分と特別受益の主張の期間に制限ができたため、寄与分があると主張することで利益を得る相続人や、他の相続人の特別受益を主張することで利益を得ることになる相続人から見れば、相続開始(被相続人の死亡)から10年経つ前に遺産分割をする(少なくとも調停か審判を申し立てておく)ほうが良いことになります。

5 まとめ

以上のように、遺産分割には民法上の期限はないものの、寄与分や特別受益の主張には制限があります。それゆえ、事情によっては、早めに手続きを進めたほうが良いということができます。すぐに遺産分割協議や調停・審判申し立てをしたほうが良いか迷っておられる方は、まずは弁護士にご相談ください。個別のケースに即して、メリット、デメリットについてご説明させていただきます。


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